2-5. テンプレート

公開日： 17:09 2. 応用編/2-5. テンプレート

テンプレートは特定の型に依存しないでコードを記述する、汎用プログラミングの基礎です。 テンプレートは汎用クラスや関数のための設計図または公式です。

イテレータやアルゴリズムのようなライブラリコンテナは汎用プログラミングの例であり、テンプレートの概念を用いて開発されました。

vectorのようなそれぞれのコンテナには単一の定義がありますが、vector <int>やvector<string>のように多くの、様々な種類を定義することができます。

クラスと同じように関数をテンプレートを用いて定義できます。どのように動作するか 見ていきましょう。

関数テンプレート

一般的なテンプレートを使った関数定義は次のようなものです。

template <class type> 戻り値 関数名(引数リスト)
{
   // 関数本体
}

typeは関数に使われるデータ型のプレースホルダー名です。この名前は関数定義内で決定されます。

プレースホルダーとは後で置き換えられるものであり、この場合はインスタンス化時に適切な型になります。 以下は2つの値の最大を返す関数テンプレートの例です。

#include <iostream>
#include <string>

using namespace std;

template <typename T>
inline T const& Max (T const& a, T const& b) 
{ 
    return a < b ? b:a; 
} 
int main ()
{
 
    int i = 39;
    int j = 20;
    cout << "Max(i, j): " << Max(i, j) << endl; 

    double f1 = 13.5; 
    double f2 = 20.7; 
    cout << "Max(f1, f2): " << Max(f1, f2) << endl; 

    string s1 = "Hello"; 
    string s2 = "World"; 
    cout << "Max(s1, s2): " << Max(s1, s2) << endl; 

   return 0;
}

上のコードをコンパイルし実行すると、次の結果が得られます。
Max(i, j): 39
Max(f1, f2): 20.7
Max(s1, s2): World

クラステンプレート

関数テンプレートと同様にクラステンプレートを定義することができます。汎用クラス宣言の一般的な形式は次の形になります。

template <class type> class class-name {
.
.
.
}

typeはプレースホルダー型名であり、クラスがインスタンス化されるときに指定されます。カンマまで区切ったリストを使うと1つ以上の汎用データ型を定義できます。

次の例はstack<>クラスを定義し、スタックの要素であるpushとpopを実装しています。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <cstdlib>
#include <string>
#include <stdexcept>

using namespace std;

template <class T>
class Stack { 
  private: 
    vector<T> elems;     // elements 

  public: 
    void push(T const&);  // 要素をpush 
    void pop();               // 要素をpop 
    T top() const;            // 先頭の要素を返す 
    bool empty() const{       // 空であればtrueを返す
        return elems.empty(); 
    } 
}; 

template <class T>
void Stack<T>::push (T const& elem) 
{ 
    // 渡された要素のコピーを追加
    elems.push_back(elem);    
} 

template <class T>
void Stack<T>::pop () 
{ 
    if (elems.empty()) { 
        throw out_of_range("Stack<>::pop(): スタックは空です"); 
    }
 // 最後の要素を削除 
    elems.pop_back();         
} 

template <class T>
T Stack<T>::top () const 
{ 
    if (elems.empty()) { 
        throw out_of_range("Stack<>::top(): スタックは空です"); 
    }
 // 最後の要素のコピーを返す 
    return elems.back();      
} 

int main() 
{ 
    try { 
        Stack<int>         intStack;  // intのスタック 
        Stack<string> stringStack;    // 文字列のスタック 

        // intスタックの操作 
        intStack.push(7); 
        cout << intStack.top() <<endl; 

        // stringスタックの操作
        stringStack.push("hello"); 
        cout << stringStack.top() << std::endl; 
        stringStack.pop(); 
        stringStack.pop(); 
    } 
    catch (exception const& ex) { 
        cerr << "Exception: " << ex.what() <<endl; 
        return -1;
    } 
}

上のコードをコンパイルし実行すると、次の結果が得られます。
7
hello
Exception: Stack<>::pop(): スタックは空です