3-3-1. 単項演算子のオーバーロード

公開日： 20:49 3. オブジェクト指向編/3-3. オーバーロード/3-3-1. 単項演算子のオーバーロード

単項演算子は単一の被演算子を操作し、次のようなものがあります。

• インクリメント(++)とデクリメント(--)演算子
• 単項マイナス演算子(-)
• 論理否定演算子(!)

単項演算子は呼びだされた時オブジェクトを操作し、通常この演算子は!obj、-obj、++objのようにオブジェクトの左に記述されますが、obj++やobj--のように接尾辞として使われることもあります。 

次の例はマイナス演算子(-)がどのようにして接尾辞と同様に、接頭辞としてオーバーロードされるかを示すものです。

#include <iostream>
using namespace std;
 
class Distance
{
   private:
      int feet;             // 0 から 無限
      int inches;           // 0 から 12
   public:
      // 必要なコンストラクタ
      Distance(){
         feet = 0;
         inches = 0;
      }
      Distance(int f, int i){
         feet = f;
         inches = i;
      }
      // 出力関数
      void displayDistance()
      {
         cout << "F: " << feet << " I:" << inches <<endl;
      }
      // -演算子のオーバーロード
      Distance operator- ()  
      {
         feet = -feet;
         inches = -inches;
         return Distance(feet, inches);
      }
};
int main()
{
   Distance D1(11, 10), D2(-5, 11);
 
   -D1;                     // マイナスを適用
   D1.displayDistance();    // D1を出力

   -D2;                     // マイナスを適用
   D2.displayDistance();    // D2

   return 0;
}

上のコードをコンパイルし実行すると、次の結果が得られます。
F: -11 I:-10
F: 5 I:-11
似たコンセプトを論理否定演算子(!)に適用することができます。